脱毛を考える時間

自身の光と補色の関係にある色によく吸収され、逆に同じ色には吸収されにくい「吸収性」という特徴もあり、たとえば、赤い色のレーザー光線は緑色のものに最もよく吸収されることがわかっています。これに対して自然光(太陽光線)には、いくつもの光が混ざっています。
自に見える光では、波長の長いほうから赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫とあり、目に見えない光には、赤よりも波長の長い赤外線、紫よりも波長の短い紫外線があります。赤外線はこたつなどに利用されるように、長く当たっていられるエネルギーの弱い光です。
反対に、紫外線は長時間当たると皮膚が焼けてしまうことなどから、エネルギーの強い光だということがわかります。治療など、ある決まった作用が求められるときには、このようにまったく違った特徴をもつ複数の光が一緒になった太陽光線は不向きです。
しかし、レーザー光線のように単一の光なら、その作用も限られており、ある症状にだけに作用する特殊な光線として利用価値が高いというわけです。レーザー美容でも、この特徴がおおいに利用されています。
こうした特性を生かして、レーザー光線は、あらゆる分野で利用されています。はじめは軍事目的で開発が進んだこともあり、ミサイルなどにも利用されるようになっています。
スーパーのレジや図書館の本の貸し出しなどで利用されているバーコードの読み取り器にもレーザー光線が使われているし、CD(コンパクト・ディスク)やLD(レーザー・ディスク)に記録された情報を再生できるのもレーザー光線の力です。このほかイベント会場での光による装飾などでも使われています。
レーザー光線が医学の分野に進出したのも、やはり、集光性や吸収性などの特徴をかわれたからです。現在では、主に外科で使われるレーザーメスが普及しており、ほかのメスよりも切り口がきれいだし、より細かい部分の治療が可能になっています。
また、最近は歯科の分野でもレーザー光線による治療器が開発されていますが、これは虫歯の黒い色だけを破壊するレーザー光線を利用したもので、痛みが少ない治療法として注目を浴びています。遺伝子工学の分野では、DNを切ったりつなげたりするのにレーザー光線が使われていますが、このことからも、レーザーがいかに正確さを要する作業に向いているかがわかります。

本書では、皮膚科、形成外科の分野で使われる皮膚レーザーを取り上げますが、こうしたレーザーの進歩も目覚ましく、たくさんの種類のレーザー治療器が開発されています。美容目的で使われる皮膚レーザーの場合には、まず、治したいアザやシミなどの色素にのみに作用する波長をもち、そのアザやシミの範囲に十分作用し、なおかっその範囲を超えて周りの組織を傷つけることのない強さと照射時聞が必要ということになります。
レーザーあれこれ現在、レーザー光線は様々な分野で利用されるたいへん便利なものとなっていますが、私たちの日常生活にもたくさん取り入れられています。デジタル・オーディオ機器と呼ばれるCD(コンパクト・ディスク)やMD(ミニ・ディスク)は、ディスクに書かれた音楽情報をレーザー光線で読み取り再生してくれます。
アナログ・レコードやカセットテープのように、レコード針や再生ヘッドが直接レコードやテープに接触することはありませんから、ノイズのないクリアな音が再生できます。また、パソコンの普及に伴い、プリンターもレーザープリンターが一般的になってきました。
高品質な印刷が手軽にできるようになりました。進歩し続ける皮膚レーザーあらゆる分野での研究が進んでいたレーザー光線が、皮膚の症状を治すために、安全に使われるようになるきっかけを作ったのは、1983年、アメリカの『サイエンス』という雑誌に掲載されたlつの論文でした。
それは、H大学の皮膚科医、Ra博士が提唱した「選択的光熱治療(」というもので、簡単にいえば、皮膚の中のある決まった色の細胞だけを選び、その細胞だけに光のエネルギーを当て、放射熱によって熱変性を起こさせ、破壊してしまおうというものです。つまり、とりたいアザやシミなどの色にぴったりと合った波長、強さ、照射時間を設定することによって、的確な治療が可能になるというわけです。
たとえば、赤アザをとりたいなら、赤い色の細胞だけに吸収されるレーザー光線を照射します。赤い色の細胞に吸収された光線は熱エネルギーに変わり、赤アザの細胞を内側から破壊します。
赤以外の色の細胞にはこのレーザー光線は吸収されないので、当然、ほかの細胞を壊すことはありません。この理論が発表された当時、皮膚のトラブルを治すためにレーザー光線を使う研究は、世界各国で行われていましたが、どうしても正常な皮膚にもエネルギーが加わって傷つけてしまうため、治療のあとが残るなど問題が多かったのです。

そんなときに現れた、アンダーソン博士の選択的光熱溶解理論は、レーザー光線による皮膚の治療を大きく前進させるまったく新しい理論でした。Ra博士は、レーザー技術の医学への応用を研究しているWラボという研究所で、気が遠くなるほどの回数の実験を繰り返し、この理論を確立させたといわれています。
選択的光熱溶解理論に基づいて、まず開発されたのは、赤アザを安全にとり除くダイレーザーです。ダイとはへアダイのダイ、つまり色素のことで、色素レーザーともいいます。
1985年、アメリカの物理学者HF博士とRa博士の共同開発でした。このダイレーザーは、赤アザが毛細血管の異常によって起こることに着目し、血管の中の酸化ヘモグロビン(血色素)を破壊するように設定したものです。
それまで、赤アザはなかなか治らず、多くの人を悩ませていたので、赤アザをとり除くことができるこのダイレーザーは、またたく聞に世界じゅうに広まったのでした。しかし、アザは毛細血管の異常によって起こる赤アザだけではなく、茶色、黒、青など、皮膚の中のメラニン色素の異常によって起こるアザがいくつかあります。
このため、いろいろな色のアザに効くレーザー光線が研究されました。これらのダイレーザーは、色素を液体に溶かしたものを利用して作り出すレーザー光線で、さまざまな波長を設定することが可能です。
赤アザにはオレンジ色のダイレーザー、茶アザには緑色のダイレーザーというように、アザの色によって使い分けられています。「Qスイッチ・レーザーシステム」さまざまなレーザー光線を、より効果的に使用するために開発されたものに、Qスイッチ・レーザーシステムがあります。
これは、レーザー光線を一定時間ためこみ、一気に照射することで、強力な破壊力をもつレーザー光線を出力することを可能にするシステムです。フラッシュランプを当てている聞は閉まっており、その間レーザー光線をためておいて、フラッシュランプの発光が終わった時点で素早く開き、ためておいたレーザー光線を爆発的に照射します。
そしてすぐに閉まるのです。レーザー光線の照射時間はおよそ1億分の1秒、想像もできないくらい短い一瞬です。
と100メガワット以上になります。パソコンなどを使われる方はおわかりでしょうが、メガといえば100万。
つまり100メガワットといえば1億ワットを意味します。

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